Title/Bouquet of a tree(一樹の花束)
Color paper, Wire / 4000mm(W)×4000mm(D)×2500mm(H)

私は自然が太陽や大気や大地からのエネルギーにより繁殖するように、環境や訪れる観客からの反応や思いを吸収して作品を育てています。
子供達には環境に順応して逞しく育つ生物の基本的な特性を理解する機会となり、大人たちには生命についての時間や記憶の蓄積や成長する事の意味など、人と人との関係の連続性について思いを巡らせる場になります。 そして強く意識をする「今という一瞬」を視覚的に楽しめる作品となっています。
今回、私は種子が今井町という町に飛んで来て新草が育ち、花が咲き共存する、というイメージを元に作ることを試みています。
その作品は時として強く逞しい生命力をもつ雑草ようであり、無限に広がる侵食のようでもあり、期待と不安を伴うものです。
歴史ある今井町だからこそある独特の個性やエネルギーは、現地で生まれた際限のない色の花で表現され、それを通して地域住民や参加作家、来場者や主催者に新たな関係性が生まれ、新たな花が芽生えていく事を望んでいます 。  招待作家 中島崇

 

開催概要
奈良・町家の芸術祭HANARART(はならぁと)」は、奈良県と県内で活動するまちづくり団体が連携して歴史的な町並み地域で開催する、まちづくり型のアートイベントです。

奈良県には、橿原市今井町、宇陀市松山地区、五條市新町地区などの重要伝統的建造物群保存地区だけでなく、伝統的な町家や歴史的な町並みを有する地区が多数存在しています。 そして、この町家・町並みは、奈良の風景に溶け込み、日本の伝統文化を伝えるとともに、町家が今も息づく地区とは、人と人との繋がりが深く、地域コミュニテイも機能するなど、 現在の日本社会にとって非常に貴重な存在です。しかし、近年、空き家の増加、またその老朽化の進行により、良好な景観が失われ、地区の活性化、安全性が阻害されています。

このような背景のもと、県内各地区のまちづくり団体が手を取り合い、「奈良・町家の芸術祭HANARART」を開催することとなりました。県内の町家・町並みの魅力を広く全国的に発信するとともに、 地域内外の交流促進、地域住民の地域への誇り・愛着の醸成への寄与を目的としています。また将来的にはこのイベントがアーティスト・イン・レジデンスなど町家の利活用の機縁につながることを願い、 1回目となる今回は「町家とアートの出会い」はもちろんのこと、「人と人」「町と人」「アートと人」と、多くの”出会い”の場にしたいという想いから、キーワードを”出会い”としています。

更に開催にあたっては、東日本大震災で被災された方はもちろん、多くの人々に、「国のまほろば」と言われる奈良から、心を和らげ、安らかな暮らしへの励みにつながることを願って、 「はな・ハナ・HANA」というテーマのもと、多様な「はな」を表現します。
http://hanarart.jp/2011/index.html